運送業の譲渡譲受手続きについて
運送業の譲渡譲受とはいったいどんな手続なのでしょうか?
もしかしたら
「許可を譲渡する」
「営業権を買う」
なんて事を聞いたことがあるかもしれません。
実は運送業の制度上、
許可を売ったり買ったりすることが正式に認められているのです。
(※正確には許可を売ったり買ったりという表現は良くないのですが、ここでは便宜上このように表現します。)
それがこのページの内容である「譲渡譲受」という手続きなのです。
でも、実際に譲渡譲受がどういう手続が必要で、
どんな時に使えるのか、
どんな流れになるのかは知らない方が多いと思います。
「譲渡譲受」のイメージ
なるほど!
許可だけを売ったり買ったりする制度があるんですね。
初めて知りました。
他の許可と比べてもこういった譲渡手続きが
認められている運送業は稀な業種ですね。
許可証を渡して書き換えて、はい、終了みたいな。
運転免許証の書き換えのようなイメージですか?
正式には「譲渡譲受認可申請」という手続を
しないといけません。
運送業の譲渡譲受について簡単に図解して説明します。
それでは、譲渡譲受とは具体的にどんな流れなのか
図解して簡単にわかりやすくお伝えします。
譲渡譲受と新規の違い
では、実際に譲渡譲受の認可申請手続きをするには
どんなことをして、どんな流れで進むのでしょうか?
まず、譲渡譲受の認可申請をしようと思ったときに
考えなければいけないことがあります。
それは本当に「譲渡譲受」という手法でいいのか?
ということです。
なぜ「譲渡譲受」という手法を選ぶのか?
別に新規で申請すれば良いのでは?
そう思う方もいらっしゃると思います。
それでも「譲渡譲受」を選ぶ理由は一体何なのか?
このあたりを詳しく説明していきます。
譲渡譲受に向いている場合
新規の許可申請をするよりも、譲渡譲受の認可申請の方が
向いているケースの具体例を説明します。
- もともと個人で運送業の許可を持っていた人が、法人化するとき
- もともと個人で運送業の許可を持っていた人が、さらに個人に譲るとき
- トラックや車庫、営業所、配送センター等の施設を安く譲ってもらえるとき
- 親会社が運送業を辞めるため、その子会社に運送事業を譲るとき
もちろん上記以外のケースもあります。
ですが、私の経験上、大体、上記のようなケースが多い印象です。
譲渡先との関係を考慮したうえで、判断する必要がありますね。
また、そもそもの話、個人が法人成りをする場合は別として、
許可を譲ってくれる人(会社)と、許可が欲しい人(会社)が
出会わなければこの話は進みません。
譲渡譲受と新規の違いを比較
次に、譲渡譲受の認可申請と新規の許可申請の違いを、比較形式で説明します。
標準処理期間
新規申請:3~5ヶ月
譲渡譲受:1~3ヶ月
法令試験
新規申請:あり
譲渡譲受:あり
※試験の内容は両方共通です
残高証明
新規申請:必要
譲渡譲受:必要
登録免許税
新規申請:12万
譲渡譲受:なし
行政処分点数
新規申請:なし
譲渡譲受:引き継ぐ
見落とし厳禁なのが、
・役員の法令試験は新規、譲渡譲受共に受験が必要
・残高証明も新規、譲渡譲受共に提出が必要。
でも
・審査期間は譲渡譲受の方が短い。
このあたりはしっかり覚えておいた方が良いでしょう。
また、これはかなりのレアケースなのですが、
譲渡譲受の場合、行政処分の点数を引き継いでしまうというデメリットもあるので、
慎重な判断が必要になりますね。

必ずホームページを見たとお伝え下さい。

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譲渡譲受と分割(合併)の違い
譲渡譲受の認可申請とよく似た制度で「分割」の認可申請という制度があります。
具体的には、以下のようにイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。
分割はこんな感じでイメージするといいと思います。
分割の特徴
それでは、分割の大きな特徴を2つ説明します。
特徴1:分割した方の会社も許可が残る
分割した会社にも運送業の許可は残ります。
ここが譲渡譲受と大きく異なる点です。
譲渡譲受は、
許可を譲渡してしまうと譲渡した方は許可が消えてしまいます。
でも、分割の方は、分割した方も分割された方も
それぞれ許可がある状態になります。
特徴2:分割の登記が必要になる
譲渡譲受と大きく異なる点の2つ目は
分割の登記が必要になります。
ここはとても超超超重要ポイントです。
ちなみに分割の認可手続きが完了する前に
合併の登記をすることはできません。
なので司法書士さんなどとしっかりと打合せをしたうえで
慎重に分割手続きを進めないと大変な目に合いますのでご注意を。
譲渡譲受の要件
あるってことがわかりました。
他にも合併などの手続きも実はあるのです。
色々やり方はあるんですね。
が、分割・合併は非常に手続きが難しく、
中小零細の運送会社同士の場合はあまり
使われてません。
じゃ譲渡譲受はどうなんですか?
ハードルは下がりますね。
どうすればいいんですか?
新規許可申請とほぼ同じです。
ただし、大大大大前提として譲り渡すモノがあることが条件です。
譲り渡すモノとは?
ここは、勘違いをされている人も多いのできちんと説明します。
今まで「許可」の譲渡譲受について説明してきたのですが、
実は、許可だけを売ったり買ったりはできないのです。
ここまできて「なんだよ」と思うかもしれませんが聞いて下さい。
単純に「許可だけ」の売り買いは認められていないのですが、
モノと一緒なら売り買いできるのです。
そのモノとは、
トラックでもいいですし、
営業所として使用していたプレハブ、
配車システム等が組み込まれたパソコン、
据え置き型のアルコールチェッカー等
何でもいいのです。
必ずトラックを譲渡しなくてはいけないなどといったルールは存在しません。
なのでこういったモノとセットで許可を売り買いするというイメージです。
譲り渡すモノの値段はいくら?
では、譲渡譲受の申請をする場合、
許可と一緒に売り買いするモノの値段についてですが、
いくらにすればいいでしょうか?
また、いくらが妥当だと思いますか?
実は値段についても明確なルールは決められてはいません。
良く言えば市場価格、悪く言えば適当に決めても申請上はOKです。
もちろん無償というものアリです。
どんなモノが対象になって、その価格はいくら位が妥当なのか?
こういった相談はぜひ、経験豊富な弊所にお任せ下さい。
その他の要件
譲渡譲受のその他の要件は、新規の許可申請とほぼ同じです。
ヒト、モノ、カネを1つずつクリアして
やっと申請にたどり着くことができます。
ヒト、モノ、カネについては
コチラに詳しくまとめているので順番に御覧ください。
譲渡譲受注意事項七か条
第一条:譲り渡す会社は、許可が無くなることを再認識すべし!
第二条:役員法令試験は1発で合格すべし!
第三条:譲渡するトラック等の台数が多ければ多いほど必要資金(残高証明)額も増えると心せよ!
第四条:リース承継、任意保険名義、ETCなどの手続きは前もって余裕を持ち慎重に進めろ!
第五条:譲渡物の価格の算出は慎重に行え!
第六条:認可日に備え、十二分にシュミレーションせよ!
第七条:この手続は運送業専門の行政書士に依頼すべし!
譲渡譲受について
最後に、譲渡譲受と新規についてよくある質問です。
それはズバリ
で、結局どっちを選べばいいの?
です。
私の経験上、譲り渡す会社との関係がないのであれば
新規の許可申請がいいと思います。
新規か譲渡譲受かとなった場合、結局、新規になることがほとんどです。
10件中9件は「新規を選択」しています。
特に以下のような状況でなければ新規をオススメします。
・譲渡先、または譲受先が血縁関係などといった関係が深い場合
・どうしても1日でも早く運送業を始めなければいけない理由があるとき
・個人が法人成りするとき
上記の場合は、譲渡譲受を選んだほうが良い場合が多いです。
ただし、繰り返しになりますが、資金計画には要注意です。
このように新規か譲渡譲受かと迷われた場合は、
遠慮なく弊所にご相談下さい。
費用について
譲渡譲受認可申請:77万円(消費税込)
以下の業務が含まれます。
- 要件調査
- 申請書類の作成
- 役員法令試験対策セミナー
- 譲渡物の算定
- 運行管理者、整備管理者の選任
- トラックの名義変更の書類作成(5台まで)
- 終了届の作成・提出
また、着手金として事前に20万円のご入金をお願いしております。

必ずホームページを見たとお伝え下さい。

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