新規の許可や変更認可のハードルが上がるかも??

皆さん、こんにちは!

今日は、今後の運送業の許可や認可について私の見通しを書いてみたいと思います。

何故このような事を書くかといいますと今後、一般貨物自動車運送事業の新規経営許可や変更の認可の要件が厳しくなると思うからです。
これは私がただ勝手に思うのではなく根拠があっての話です。

実は、令和元年の5月30日に国土交通省からパブリックコメントというものが発表されました。
パブリックコメントはちょいちょい発表されているのですが、今回はかなりインパクトのある内容だったのです。

ちなみにパブリックコメントとは以下のような制度を言います。

パブリックコメント(Public Comment)とは、公的な機関が規則あるいは命令などの類のものを制定しようとするときに、広く公に(=パブリック)、意見情報・改善案など(=コメント)を求める手続きをいう。公的な機関が規則などを定める前に、その影響が及ぶ対象者などの意見を事前に聴取し、その結果を反映させることによって、よりよい行政を目指すものである。通称パブコメ

引用元:ウィキペディア

さて肝心なパブリックコメントの内容ですが、特に重要な点をピックアップしておきたいと思います。

    1. 新規の許可申請の要件が厳しくなる
    2. 認可の要件も厳しくなる
    3. 増減車も一部が届出ではなくなり認可になる

    1.新規の許可申請の要件が厳しくなる

    これがもっともインパクトのある内容ですね。簡単に一言で言うと「新規参入のハードルが上がる」ということです。
    では、新規の許可でどの部分が変更される可能性があるのでしょうか?
    特に注意しなければいけない大事なポイントは3つあります。もちろんその他にもいくつかあるのですが、今回は3つとさせていただきます。
    ①欠格要件の範囲が広がる
    ②原則、車庫が併設になる
    ③用意しなければいけない資金がグッと上がる

    それぞれもう少し詳しく見ていきます。

    ①欠格要件の範囲が広がる
    パブリックコメントの中にはこのように記載されています。

許可を受けようとする者と密接な関係を有する者(親会社、グループ会社、子会社等)の具体的内容として、許可を受けようとする者の議決権の過半数を所有していること等を定める。

引用元:貨物自動車運送事業法施行規則及び貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令案並びに関係通達の改正案について(概要)より

なにやら言い回しが難しいですが、ものすごく簡単に言うと許可の取り消し逃れはさせませんよ。という風なイメージですね。
元の会社の許可が取消されそうな時に新しい会社を作って役員なんかも元の会社からそっくりそのまま見たいな場合はダメですよ、見逃しませんといったメッセージにも受け取れます。
また役員に行政処分があったかどうかについてですが、現在は常勤の役員のみが宣誓、調査の対象になっていますが、今後は非常勤の役員も対象になるかもしれません。また、調査の期間も長くなりじっくり調べる方向に進みそうです。

②原則、車庫が併設になる
今後は、原則として車庫は営業所に併設していることが要件になりそうです。現在、栃木県の場合は、営業所から直線で10km以内という範囲であれば営業所に併設されていなくても大丈夫なのですが、今後は今以上に規制がかけられそうな感じですね。
多分、点呼をキッチリやりなさいというメッセージかもしれません。

また、車庫の契約期間の長さにも変更がありそうです。
これは、車庫だけではなく営業所や休憩施設についても同じになるとのことですが、現在は1年以上の契約期間があればヨシとされていますが今後は2年以上に変わりそうです。

③用意しなければいけない資金がグッと上がる
これは中小零細企業にとってはかなり厳しいです。
人件費、燃料費、油脂費、修繕費→2か月から6か月
車両費、施設購入・使用料(営業所や車庫の家賃や敷金礼金などの費用)→6か月から12か月
車両の任意保険で対物200万以上が追加

これはめちゃくちゃ厳しいです。多分、必要資金は2,5倍から3倍位に膨らむのではないかと思います。
例えば今まで車両や営業所、車庫などの施設が全て自社で保有している場合でギリギリラインで500万だった場合、必要資金が1,250~1,500万まで膨らみそうです。
それだけの資金を確保するとなるとかなり財務基盤の強い会社じゃないと正直キツいかも知れません。
しかも残高証明で証明しなければならないので動かすことも出来ないと思っていただいていいかと思いますので、必要資金をキープし続ける必要があります。

2.認可の要件も厳しくなる
新規許可に続いて認可についても要件が厳しくなりそうです。営業所や車庫を新設したり増設したり事業を拡大させる場合にはいくつかの要件が追加される方向で進みそうです。その中の代表的な要件をピックアップします。
①巡回指導などの結果等を踏まえて、法令順守が十分に行われている
②申請をする営業所が、申請日3か月間又は申請日から認可までの間に自らの責による重大事故を発生させていないこと
③例外を除き、車検が切れていないこと
④事業報告書、事業実績報告書、運賃・料金の届出をきちんと提出していること
⑤平成29年11月改正の約款に関する手続きを行い、新しい約款を使用していること
⑥万が一、行政処分を受けている場合は、認可申請出来ない期間がながくなる

きちんとやる事はやる、決められたことはきちんと守るといったしっかりした会社じゃないと今後認可申請が受け付けられずらくなりそうですね。

3.増減車も一部が届出ではなくなり認可になる
現在であれば増車は事前届出とされており、届出書を出せば、その日に届出書が受理されすぐに車両の登録ができます。今後は、以下の場合は認可申請になる方向で進みそうです。
①車両が5台を割ってしまう場合
②役員などが欠格要件に該当している場合
③一定規模以上の増車を行う場合

認可申請になれば、もちろん時間もかかりますし、今まで受理されていたからと言って認可が下りるわけではありません。

さて、いかがでしたか?
さっと挙げただけでもこれだけの改正予定が控えています。

かと言って、真面目にやっている事業者からしてみればそこまで気にすることはない内容です。気にする必要もないかもしれません。
今後、ズボラな事業者や業績拡大だけを求めすぎて法令遵守を無視する事業者などは生き残りずらくなると思うし、そうなって欲しいと私は思います。

こういった改正などをキッカケに古い経営体質や意識を今の時代にあったものへと転換するチャンスと捉えていただければ業界ももっともっと良くなると思います。

今回はここまで。

またお会いしましょう!