廃止と休止について

 

運送業を何らかの理由で一旦お休みしたい、

又は、もう辞めてしまいたいという場合の手続きについて説明します。

 

廃止は慎重に!

休止廃止、字が似ているので似たような手続きにも思えますが、
その違いは天と地くらいの差があります。

休止廃止の選択を間違えると、
本当に取り返しのつかないことになるので慎重に進めましょう。

 

廃止

まずは廃止から説明しましょう。

廃止とは読んで時のごとく、
事業を廃止することです。

つまり運送業そのものを辞めてしまう場合に取るべき手続きです。

この廃止届を提出してしまうと後戻りできません。
きっかり30日後には許可が消えてなくなります。

しかも、一度提出してしまうと取消しできません。
休止届と間違えて廃止届を出してしまって、
やっぱり廃止じゃなくて休止だったと言っても
もう手遅れになります。

一度受理されたらもう止められないのです。
どんなに言い訳をしても受理されたら
もうその時点で廃止が確定したと思って下さい。

 

休止

次に休止です。

休止は廃止と違い、
一定期間、運送業を中止する場合の手続きです。

休止の場合は原則として1年間というルールがあります。
いつまでも休止しっぱなしというわけには行きません。

ただし、やむを得ない事情がある場合は、
特例で休止期間の延長が認められます。

 

運送業の廃止と休止の手続き

運送業の廃止と休止の手続きは簡単です。

本当にこんなに簡単でいいの?
と思ってしまう位に簡単です。

事業計画変更届出という書式を用意し、
廃止休止を予定している30日前
運輸支局に届け出ればそれで終了です。

 

出し忘れに注意

廃止と休止の手続きの際に忘れがちな手続き2つあります。

 

減車のための連絡書

廃止の場合も休止の場合も共通なのですが、
緑ナンバー(営業ナンバー)で登録している車両は
全て緑ナンバーを返却しなければいけません。

いわゆる減車手続きです。

緑ナンバーから白ナンバーの自家用車に戻さないといけないのです。

この際に必要になるのが連絡書と呼ばれる書類です。
この書類がないとナンバー変更ができませんのでご注意を。

 

運行管理者と整備管理者の変更届(減員)

廃止または休止の手続きを出すと同時に
必ず行うべき手続きが運行管理者と整備管理者の減員届です。

支局によっては「解任届」や「廃止届」と呼ばれたりします。
栃木運輸支局の場合、
選任届とは別の書式で減員の届出をする必要があります。

この手続、ついつい忘れがちなんですよね。

この手続は廃止や休止の手続きをする窓口とは
別の窓口で手続きをしないとダメなんです。

廃止や休止の手続きや連絡書の発行は
通常、輸送担当という窓口が担当しています。

ところが運行管理者や整備管理者の選任や変更などの手続きは
保安担当という窓口が担当になるのです。

つまり、窓口は2つになるのです。

この手続をきちんとしておかないと
運行管理者や整備管理者が他の会社に転職をした場合、
転職をした先の会社で運行管理者や整備管理になれない
というトラブルが発生してしまいます。

 

休止から再開させたい場合

運送業を一度休止させた状態から再開させるには
2つのパターンが考えられます。

 

再開パターンその1

営業所や車庫など休止前と何も変わらない状態で再開する場合

休止から再開させる場合で、休止前と営業所や車庫が何も変わらない場合は、
手続きはそれほど難しくありません。

  • 再開届の提出
  • 増車届提出、連絡書の発行
  • 運行管理者、整備管理者の選任
  • ナンバー変更

これだけです。

書類の準備やタイミングをうまく合わせれば
1日でナンバー変更まで完了することも可能です。

古い会社の場合、運賃設定や運賃変更等の
手続きが必要になる場合もあります。

また、これはあくまでも運輸支局の手続きであって
運転者台帳の作成、適性診断、健康診断の受診、運転者教育
などの準備は平行して進める必要があります。

 

再開パターンその2

営業所や車庫が別の場所で再開する場合

休止している期間に何らかの事情があり、
休止前の営業所や車庫が使用できず、
別な場所に営業所や車庫を移動して再開する場合は
細心の注意が必要です。

この場合は、すぐに再開することはできません。

まず、営業所や車庫の移転の認可申請をしてから
再開することになるのです。

営業所や車庫の移転の認可申請となると
申請してから認可になるまで審査期間が約3ヶ月位かかるのです。

なので営業所や車庫を別の場所で再開させる場合には
十分に事前準備をして手続きを進める必要があります。

先に仕事だけ受けしまって認可がおりず
再開できないというお粗末な事態にハマる可能性もあります。

さらに営業所に関しては、車庫以上に厳しい
都市計画法や建築基準法などの規制があります。

これらの条件をクリアした場所でないと
営業所として申請することはできません。

また、新たに利用運送を行いたい等の事情がある場合は、
利用運送についての申請や、条件変更になる場合は、
条件変更の申請の準備を並行して行う必要があるので、
安易に考えない方が良いです。

もしもこのように営業所や車庫を休止前とは別の場所で
再開したい場合には事前調査がとてもとても重要になります。

 

 

もしも、廃止(廃業)を考えているのであれば

この記事を読んでいる社長さんの中で、
本気で廃業を考えている社長さんがいらっしゃったら一度、
私にご相談いただけませんか?

せっかく長い間、運送業を経営してきたのに
廃業なんてもったいないです。

もちろん破産などの倒産手続きをする場合などは
どうしようもないですけど、以下のような理由で
廃業を考えているのであればぜひ一度今すぐご連絡をいただきたいのです。

  • 跡取りがいない
  • 特に借金などが有るわけではないが、業績が伸び悩んでいる
  • 運送業ではなく別の事業に本腰を入れたい
  • 運転手が高齢化し、新しい運転手の確保も難しい
  • そもそも気力や体力がなくなってきた
  • 将来性が期待できない

さいとう事務所では、せっかく今まで続けてきた運送業を
なんとか次の世代にバトンを渡せるようなお手伝いをしています。

事業承継とかM&Aという言葉を聞いたことがあるかと思います。
今現在、やる気も経験もあるけど資金面で躓く若い世代がたくさんいます。

こういった世代に運送業許可というバトンを渡してみることも考えてみませんか?

是非、廃止を決める前に私に相談して下さい。

知識と経験と人脈を駆使してかならずいい結果になるよう全力でお手伝いします。