運転手を新しく雇用した場合に3つのやるべきこと

 

 

運転手を新しく雇った時に、必ずやらなくてはいけない3つのことをまとめました。
1つづつ見ていきましょう。

原則として、この3つのやるべきことが終わらないうちに、
運転手としてトラックを運転させてはダメです。

まず、運転手を新しく雇ったら、
何よりも先にこの3つのことを済ませてしまいましょう。

もし、この3つのことをうっかり忘れたままにしておくと
行政処分の対象になります。

絶対に忘れずに手続きして下さい。

 

やるべきことその1:運転記録証明書の取得(輸送安全規則)

やるべきことその1は、貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下、「安全規則」といいます)
に基づいて、運転記録証明書という証明書の取得をすることです。

 

その前に運転記録証明とは?

運転記録証明書とは、
交通違反や交通事故、運転免許の行政処分の記録などを証明する書類です。

過去の交通違反、交通事故、運転免許の行政処分の記録が全て記載されています。

この運転記録証明書は5年・3年・1年と期間を選ぶことができます。
運転手を新しく雇った場合は、最低でも3年を取得しましょう。

できれば5年を取得したいところです。
3年だろうが5年だろうが費用は変わりません。

 

運転記録証明書を入手する2つの方法

その1:鹿沼市にある運転免許センター内にある自動車安全センターで直接申込む

栃木県の場合、鹿沼市にある運転免許センターの中に
自動車安全センターという窓口があります。

ちょっと分かりづらいので総合受付で場所を確認するといいでしょう。
その窓口で直接申込む方法です。

ここに注意

窓口で直接申込んだからといって
その場で運転記録証明書は交付はされません。

後日、再度窓口に行くか郵送で送ってもらうことになります。
運転記録証明書が届くまで3日から5日程度かかります。

 

その2:最寄りの警察署を経由して郵便局で申込む

最寄りの警察署の窓口で申込書をもらって、
郵便局で費用を払込んで申請する方法です。

ここに注意

この場合、窓口での申込みの場合と違って、
運転記録証明書が届くまで1週間から2週間程度かかります。

 

やるべきことその2:適性診断の受診(輸送安全規則)

新しく雇った運転手運転記録証明書を取寄せたら、
その内容を確認し、内容に応じた適性診断を受けさせます。

 

適性診断3つのパターン

初任診断

新しく雇った運転手の運転記録証明書の内容が特に問題なく、
65歳未満であれば、初任診断を受けさせましょう。

ここがポイント

過去3年以内に初任診断を受けた記録があれば免除できます。
その際には、運転手から必ずその診断結果を提出してもらいましょう。

あくまでも初任診断であり、一般診断ではダメなので注意して下さい。

過去3年以内に初任診断を受けていたとしても、
採用前3年以内に緑ナンバーの運転手経験がない場合は、
初任診断の受診対象です。

さらに、過去3年以内に緑ナンバーの運転手経験がない場合は、
初任診断にプラスして初任特別教育が必要になります。

初任特別教育とは?

法令で定められた座学を15時間以上実施、
さらに添乗指導を20時間以上実施します。

座学その1:国交省の定めた監督指針の以下の項目を座学で12時間

Ⅰ. トラックを運転する場合の心構え
Ⅱ. トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
Ⅲ. トラックの構造上の特性
Ⅳ. 貨物の正しい積載方法
Ⅴ. 過積載の危険性
Ⅵ. 危険物を運搬する場合に留意すべき事項
Ⅶ. 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
Ⅷ. 危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法
Ⅸ. 運転者の運転適性に応じた安全運転
Ⅹ. 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因とこれらへの対処方法
Ⅺ. 健康管理の重要性
Ⅻ. 安全性の向上を図るための装置を備えるトラックの適切な運転方法

座学その2:実車を使用した指導を3時間

積載方法、日常点検、トラックの構造上の特性

添乗指導20時間以上

実際にトラックを運転させて安全な運転方法を指導

合計35時間以上を実施して記録に残し3年間保存します。

 

適齢診断

新しく雇った運転手の運転記録証明書の内容が特に問題ないが、
年齢が65才以上だった場合は、
適齢診断を受診させましょう。

適齢診断とは65才以上の運転手に義務付けられている適性診断です。

新しく雇った運転手だけではなく、
既存の運転手で65才を超えた運転手がいる場合、
65才になった日から1年以内、
そして、その後3年毎に受け続ける必要があります。

ここがポイント

初任診断が必要な場合は、
適齢診断の結果を初任診断の代わりとして使用できます。

なので初任診断と適齢診断の両方を受ける必要はありません。

また、診断の結果をもとに特別指導を行い、
その記録を3年間保存する必要があります。

 

特定診断

新しく雇った運転手の運転記録証明書の内容に、
事故等を引き起こした経緯がある場合は、
事故等の内容に応じて以下の診断を受診させましょう。

特定診断Ⅰ

①死亡又は重傷事故を起こし、かつ、当該事故前の1年間に事故を起こしたことがない者

②軽傷事故を起こし、かつ、当該事故前の3年間に事故を起こした事がある者

特定診断Ⅱ

死亡又は重傷事故を起こし、かつ、当該事故前の1年間に事故を起こした者

ここがポイント

添乗指導を除いて、6時間の事故惹起者教育を行い、記録を保存する必要があります。

 

やるべきことその3:健康診断の受診(労働安全衛生法)

適性診断の受診と同時に、
健康診断も忘れずに受けさせましょう。

健康診断の受診結果は5年間の保存義務があります。

省略できる場合があります。

新しく雇った運転手が、
以前の勤務先で健康診断を受けた記録が残っていれば、
雇入れの時の健康診断は省略できます。

ただし、健康診断を受けたのが3ヵ月以内の時だけに限ります。

注意点

入社時の健康診断は、通常の定期健康診断(労働安全衛生法44条)ではなく
雇入れ時の健康診断(労働安全衛生法43条)になります。

また、定期健康診断と違い、雇入れ時の健康診断では、
検査項目の省略は認められていません。

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
  8. 血中脂質検査( LDLコレステロール、 HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  11. 心電図検査

上記以外にも、人間ドックや生活習慣病健診などがありますので
必要に応じて受診させて下さい。

そして、健康診断は、受けて終わりじゃありません。

受診結果をもとに生活習慣の改善が必要だったり、
再診断が必要だったりします。

受けて終わり、そのまま放置ではなく、
必ず受診結果に基づいて必要な対策を行って下さい。

 

次回の健康診断は業務内容次第で受ける時期が変わります。

入社時に健康診断を受け、その後、健康診断は、
そのようなタイミングで受けるか理解してますか?

通常は1年に1回のペースで定期健康診断を受ければ大丈夫です。

夜間の運転業務がある場合は注意

すでにご存知かも知れませんが、夜間の運転業務がある場合は注意が必要です。

定期健康診断を受ける回数が増えます。
基本的には、半年ごと以内に1回となります。

しかも、定期健康診断の項目に加え、胸部X線検査が必要になります。
ただし、1年に1回で良いとされています。

夜間とは

それでは夜間とは何時から何時まででしょうか?
労働安全衛生法では、
夜間と言う言い方はせず深夜業という呼び方が正式ですが、
ここでは夜間と呼ばせて頂きます。

夜間とは午後10時から翌朝5時までの間を言います。

この時間に、過去6か月間を平均して、
1か月当たり4回以上の夜間の勤務
を行っている運転手が対象となります。

なので、例えば、1週間に2日、
渋滞に巻き込まれるのがイヤだからと
朝4時に出庫している様な場合は、年2回の健康診断に該当します。

健康診断をまめに受けるのは悪いことではありませんが、
きちんと自社の運転手の勤務状況を把握し、
適切に健康診断を受けさせるように管理して下さい。

 

適切な指導・監督を怠った場合

万が一、これらのやるべきことをやらなくて、
放置したり無視したりすると違反行為となり、
行政処分の対象となるので絶対に忘れないで下さい。

行政処分となる項目と処分の日数

初任特別教育や診断結果にもとづく特別教育をやっていない場合

初違反 再違反
一部不適切(対象となる運転手の2分の1以上)  警告 10日車
大部分不適切(対象となる運転手の2分の1未満) 10日車 20日車

 

適性診断の受診状況

初違反 再違反
受信なし(1名) 警告 10日車
受信なし(2名以上) 10日車 20日車

 

健康診断の受診状況

初違反 再違反
健康診断未受診 1名  警告 10日車
健康診断未受診 2名 20日車 40日車
健康診断未受診 3名以上 40日車 80日車

 

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