運送契約の書面交付義務| 第12条と第24条をやさしく解説
第12条と第24条をやさしく解説
みなさん、こんにちは!
運送業専門行政書士の齋藤です。
今回は、2025年4月から実施された
法改正で、特に重要になった
「書面交付義務」について、
できるだけわかりやすく解説していく
続編となります。
書面の交付と言っても、
その内容は2つに分かれます。
まず、今回の書面の交付を理解する
ための大きなポイントは
「利用運送」
です。
実際に利用運送を行っていない
運送会社は特にややこしいことは
ないと思います。
そのあたりも含めておさらいしましょう。
書面の交付は以下の2パターンに分かれます。
- 真荷主とトラック事業者が契約するときの書面交付(第12条)
- 利用運送を行うときの委託先への書面交付(第24条)
1. まず、そもそも「書面交付義務」って何?
簡単に言うと、「口約束じゃなく、
ちゃんと紙やデータで契約内容を
やり取りしてください」という決まりです。
なぜそんな決まりができたのか?
それは、運送業界でトラブルが多い
からです。
例えばこんなケースです。
A社(荷主):
「明日までに荷物を届けてほしい。
金額はいつもの通りで」
B社(運送会社):
「わかりました!」
…でも後から「金額が違う」とか
「荷物が多すぎる」などの問題が発生。
書面がないと証拠がなく、
解決が難しいのです。
そんなトラブルが全国で多発しています。
そういった現状を改善すべく
始まった制度です。
元々、書面の交付はしなさいよ、
という制度は存在していたのですが、
罰則などもなく、あまり意味のない
形だけの制度でした。
それが、このままではイカンという
ことで今回の法改正につながったのです。
2. 「第12条」は、真荷主とトラック事業者の契約
それでは、具体的に書面交付の
内容をおさらいしていきましょう。
まずは第12条の書面から。
真荷主
その前に「真荷主」(しんにぬし)とは
なんぞや?という点。
「真荷主」とは、その荷物の送り主や
正式な依頼主のことです。
いわゆる荷主だと思って下さい。
第12条の内容
第12条では、真荷主と運送会社が
契約するとき、お互いに契約内容を
書面または電子データで交付し合う
ことが義務になりました。
つまり、荷主が一方的に紙を渡すだけ
ではダメで、依頼を受けた運送会社も
それに対して相手に紙を渡す必要が
あります。
ちなみにココでは紙といいますが、
メールなどでも大丈夫です。
メールの場合は、簡単で、荷主からの
メールにそのまま返信するだけでOK
です。
とは言っても、荷主からのメールが
記載事項をきちんと記載している場合
の話ですが。
【例:紙の場合】
荷主 → 運送会社:契約書を渡す
運送会社 → 荷主:契約書を渡す
記載が必要な項目
契約書には、運賃、運送区間、積み込み
日時など法律で決められた内容が書かれます。
①運送役務の内容・対価
②運送契約に荷役作業・附帯業務等が含まれる場合には、その内容・対価
③その他特別に生ずる費用に係る料金(例:高速道路利用料、燃料サーチャージ等)
④契約の当事者の氏名・名称及び住所
⑤運賃・料金の支払方法
⑥書面を交付した年月日
3. 「第24条」は、利用運送のときの委託先への交付
今更ですが、「利用運送」というのは、
自分の会社のトラックでは運ばず、
別の運送会社にお願いして運んで
もらうことです。
第24条の内容
第24条では、この場合に、
委託する側の会社(運送をお願いする会社)
が、
委託先(実際に運ぶ会社)
に契約書を渡すことが義務になっています。
ポイント
第24条のポイントは以下です。
- 委託先に渡すのは「一方的」でもOK
- ただし内容は第12条と同じく、運賃や運送条件などを明確に書く必要あり
利用運送を行っていない運送会社の場合は、
特に問題はないかと思います。
逆に、今現在、利用運送を行っている
運送会社は、絶対にこの書面の交付を
しないといけないのです。
そして忘れてはいけないのが、
第24条の書面とセットで、
「実運送体制管理簿」
の作成が必要になるという点です。
この「実運送体制管理簿」については
コチラのページで解説します。
4. まとめ
【第12条】
荷主 ⇄ トラック事業者
お互いに契約書を渡す(双方向)
【第24条】
利用運送する会社 → 実際に運ぶ会社
契約書を渡す(片方向)
この違いを押さえておけば、実務で
混乱しにくくなります。
今回の法改正は、単なる
「面倒な手続き」ではなく、
会社を守るための保険のようなものです。
契約内容がはっきりしていれば、
運賃未払い、追加作業の押し付けなどの
トラブルを防げます。
今までのように電話一本でやり取りが
できなくなることで不便だと
思われる方もいらっしゃると思います。
でも、自分の会社を守るためにも
今回の書面交付については、面倒がらずに
対応しましょう。
それでは、今回はここまで。
最後までお読み下さいましてありがとうございます。
またお会いしましょう!
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