運送契約の書面交付義務がスタートしてます!!
今すぐ確認すべきポイントを
運送業専門の行政書士とおさらいしましょう!!
みなさん、こんにちは!!
運送業専門行政書士の齋藤です。
今更ですが、今回は、中小規模の
運送業を営む経営者の皆様にとって、
見逃せない重要な法改正について
ここで今一度おさらいをしたいと思い、
今回のコラムにまとめました。
すでに、2025年4月1日から、
一般貨物自動車運送事業において
「運送契約の書面交付義務」が
新たにスタートしたのは
ご存知だと思います。
法改正前までも、契約内容を書面に
残すことは望ましい、
とされていましたが、実際には、
法的な義務ではありませんでした。
しかし、今回の法改正により、
契約内容を明確に記載し、
書面やメールなどで交付することが、
事業者の義務として規定されました。
これってかなり重要ですよね。
日々、実務に追われて、まだ実際に
対応なんてできないよ、
という声も耳にします。
書面化、書面化って簡単に言いますが、
現場の皆さんにとってはかなり面倒だと
思います。
とは言え、法律で決まってしまったこと
なので、これからは法律に従って
やらなくてはならなくなります。
それでは、振返りも兼ねて今回の
法改正についておさらいしていきましょう!!
1. 書面交付義務とは何か?
そもそもの話ですが、
今回の法改正のきっかけは、
契約トラブルを未然に防ぐためと、
取引の透明性向上が目的とされています。
交付すべき書面は、以下のような
項目が記載されている必要があります。
- 契約当事者(運送事業者・荷主)の
氏名または名称 - 運送区間、運送品目
- 運賃および料金の額または計算方法
- 支払条件
- 運送日時や積卸し時間の条件
- 責任範囲や損害賠償に関する事項
- 下請運送の有無 など
これらを記載した契約書を、紙または
メールなどの電子データの形で
交付しなければならないのです。
特に現場を混乱させているのが、
- 運賃および料金の額または計算方法
だと思います。
・どこまで細かく書けば良いのか
・燃料代や高速代も含まれている
・届出している運賃と違う
・計算方法なんて荷主の言い値だし
・そもそも、とりあえず1回戦5万みたいな決め方
などなど、色々な声が聞こえてきます。
2. 義務化による実務への影響
この義務化によって、
「また余計な事務作業が増える」と
感じている方も多いと思います。
もしくは、そう簡単に言うけど、
どういう書式にすればいいか分からない、
とか
本当にこの書式で良いのか不安、
後から、この書式は無効だ、なんて
言われたら面倒、などなど。
しかし、実際には契約書を整備する
ことで、以下のメリットが得られます。
メリット1: 口約束による認識違いの防止
運賃や作業条件を明確化することで
トラブルを未然に防げます。
メリット2:コンプライアンスの強化
これは予想ですが、許可更新時に
契約書の整備状況は重要な評価
ポイントになると思われます。
メリット3:荷主との信頼関係向上
書面化は「きちんとした会社」という
印象を与え、取引継続や単価交渉にも
有利に働きます。
特に1は、最大のメリットですね。
今までは電話1本、またはFAX1枚で
完結していたやり取りが書面化になる。
これは結構重要です。
・傭車先が飛んだ
・貨物事故を起こした
・入金がない
年に2,3回はこのような相談を受けます。
で、誰がどこまでの責任を負うかが
いつも問題になります。
なぜか?
いつも口約束で、書面が残ってないから。
確かに、電話1本で今までやってきた
経験もあり、信用もあるのでずるずると
来てしまったという面もあると思います。
ただし、
今後は自社を守るためにも、面倒がらずに
書面化をコツコツと進める必要があります。
というか、進めなくてはいけません。
3. 実務対応のポイント
では、実際にどう対応していけば良いか??
次のステップで進めるとスムーズです。
ステップ1:契約書のひな形作成
業種や取引形態に合わせた契約書の
雛形を用意しましょう。
顧問の弁護士さんや、運送業の場合、
顧問になっている行政書士さんがいる
場合が多いので、そういった
専門士業に相談すると効率的です。
ステップ2:既存取引先の棚卸し
雛形ができたら、現在の契約関係を整理し、
書面が存在しない取引先をリストアップします。
これ、結構重要です。
これをきっかけに運賃交渉のネタになる場合も
ありますし、場合によっては取引自体を見直す
きっかけにもなります。
この作業を顧問先で私も参加してやったのですが
たくさんの発見とヒント、きっかけを得ることが
できました。
ぜひ、面倒がらずにやってみて下さい。
ステップ3:電子交付の検討
紙だけでなく、PDF等の電子ファイル
による交付も可能です。
さらに言うと、電子契約サービスの導入
で事務負担を軽減できます。
未だに電話とFAXでやり取りすることが
多いと思います。でも、今後はできるだけ
メールや電子契約サービスを導入すると
良いと思います。
最初は面倒ですが、慣れるときっと手放せ
なくなります。
ステップ4:社内研修の実施
配車担当者や営業担当者が契約書の
重要性を理解し、日常業務に反映できる
よう教育を行いましょう。
と言うのは簡単ですが、
経営者や幹部がちゃんと理解を
していないと、教えることすら難しい
と思います。
外部の研修や専門家、またはシステム等
を導入して教育コストを下げるというのも
アリです。
経営者や幹部が、間違った知識を
教え込んでしまったり、
中途半端な理解のままで、結局、
うまく伝わらず、機能しない、、、
なんてこともあり得ます。
4. 注意すべきポイントや罰則、リスク
この改正をさらにややこしくしているのは、
契約書面の内容が2つあるという点です。
それが、「法第12条」と「法第24条」の
2種類です。
契約書のポイント
ズバリ、以下のような違いがあるのです。
・真荷主とトラック事業者が運送契約を締結するときは、相互の書面交付(第12条)
・トラック事業者等が利用運送を行うときは、委託先への書面交付(第24条)
これが一番ややこしいのではないでしょうか?
ややこしいというか面倒臭いと言った方が
良いかも知れないですね。
ある程度、規模の大きい会社の場合は、
当然のように利用運送はやっているでしょう
から、実運送会社の管理も含め、
やることが増えてしまいます。
罰則について
これが一番関心があるのではないでしょうか?
この義務を怠った場合、行政処分の対象と
なる可能性があります。
ただし、現時点では、どの位の違反の度合いで、
どの程度の行政処分となるのか?
このあたりがまだ不明確です。
車両停止の処分となるのか、営業所の停止等の
事業停止規模の大きな処分になるのか、
さすがに、いきなり許可の取消しにまでは
ならないと思いますが、それでも10日車とかの
車両停止ともなれば、違反点数もついてしまうし
会社にとってはかなりの痛手となります。
今後、実際に契約書についての行政処分、
または監査や巡回指導の方針にはアンテナ
を張っておかないといけませんね。
リスクについて
また、契約条件を明示していないと、
荷主からの不当な要求や、運賃未払い等の
トラブル発生時に、法的に不利な立場に
なる危険性もあります。
これは実際にそうなってみないと
わからないのですが、やはり契約書が
あるに越したことはないです。
5. 今後の動きと経営戦略
今回の改正は「契約書面化の第一歩」で、
今後さらに細かなルールや、電子化の
標準化が進む可能性があります。
経営者としては、単なる義務対応に
とどまらず、この機会を会社の
コンプライアンス体制の強化や、
業務効率化のチャンスとして活用
することが重要です。
例えば、
・契約情報を一元管理できるシステム導入
・荷主との交渉時に「適正運賃」を主張する
ための資料化
・下請け業者との契約条件の整備
これらは全て、今回の書面交付義務と
親和性が高い取り組みです。
つまり、契約を見直すチャンスでもある
んですよね。もしくは、運賃交渉のきっかけ
にもなるので、まだ運賃交渉ができていない
取引先とのネタにもなります。
今回の法改正は、単に事務作業が
増えるだけでなく、経営の安全性と
信頼性を大きく高めるチャンスです。
ぜひ、このタイミングで契約書の整備を
進めてみてください。
当事務所でも、運送業に特化した契約書
作成や法令遵守体制の構築をサポートして
おりますので、お気軽にご相談ください。
それでは、今回はここまで。
最後までお読み下さいまして
ありがとうございます。
またお会いしましょう!!
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