行政書士の独り言|“当たり前”を疑うことで、運送経営はもっと強くなる
ゼロベースで考える力
― これからの運送会社に求められる問題解決の視点
みなさん、こんにちは!
運送業専門行政書士の齋藤です。
「ウチは昔からこのやり方でやってきたから」
「お客様もこのスタイルを望んでいるはずだ」
──こんな言葉が、経営の現場でふと口から出ていないでしょうか?
私自身、ある時期に学んだ講座の講師が勧めてくれた本の中に
松下幸之助さんについて書かれた書籍がありました。
をの本の中で、今でも強く記憶に残っている教えがあります。
それは「ゼロベースで考えよ」という教えです。
松下幸之助さんは、どれだけ実績がある会社でも、
「もし今がゼロだったら、どう考えるか?」
という視点を持つことが重要だと説いています。
これはまさに、変化の激しい今の時代にこそ必要な姿勢です。
なぜ今、ゼロベース思考が必要なのか?
運送業界は、近年特に大きな変化の波にさらされています。
人手不足、燃料費高騰、ドライバーの労働時間規制(2024年問題)、
さらには取引先からの価格交渉や、荷主企業からの無理な要望など…。
そして追い打ちをかけるように2026年1月からは、改正下請法等の施行も控えています。
早ければ、3年後には、許可の更新制の導入も控えています。
今までのやり方だけでは、ヤバいと感じている経営者も少なくないでしょう。
こうした変化の激しい今、求められているのは、
「これまでの延長線」
で考えるのではなく、
「そもそも、何が本当に必要か?」
を問い直す力です。
つまり、“ゼロベースで考える力”こそが、
会社の未来を切り拓く鍵になるのです。
ゼロベースで考える実例
たとえば、稼働率が下がっている車両があったとします。
従来なら
「ドライバーを補充しよう」
「営業を強化して荷主を増やそう」
と考えるかもしれません。
しかし、ゼロベースで考えると、
「本当にこの車両は必要なのか?」
「このエリアは自社で運行すべきなのか?」
「そもそもこの業務は、外注や共同配送に切り替えた方が効率的ではないか?」
といった、まったく異なる選択肢が見えてきます。
ある運送会社では、長年続けてきたルート配送を一度ゼロから見直しました。
その結果、一部の配送は曜日指定に切り替えたり、
近隣業者と共同配送網を構築したことで、
ドライバーの負担軽減とコスト削減を同時に実現できたという事例があります。
前提を疑うことで道が開ける
私たちは、気づかないうちに
「これが普通」
「これしか方法がない」
と決めつけてしまっています。
しかし、その“当たり前”が、
今の会社にとって本当に最適なやり方でしょうか?
たとえば、
「対面での受領印が絶対必要だ」
と思い込んでいた業務も、
コロナ禍以降は電子受領や写真記録で済むようになったケースもあります。
「毎日このルートを走らないといけない」
と考えていた定期便も、荷主との対話次第で
「週2回でも問題ない」と分かった例もあります。
一度“ゼロ”の状態に立ち返り、
「今この瞬間から会社を始めるとしたら、どう設計するか?」
と自問してみてください。
驚くほど多くの改善アイデアが生まれてくるはずです。
最後に
運送業は「人・車・時間」をどう使うかが勝負の業界です。
だからこそ、少しでもムダやムリを削り、
「本当に価値を生む仕事」に集中することが求められます。
そのためには、一度立ち止まって“ゼロから考える”勇気が必要です。
松下幸之助さんが教えてくれたゼロベース思考は、
きっとこれからの運送業経営を支える強力な武器になるでしょう。
それでは、今回はここまで。
最後までお読み下さいましてありがとうございます。
またお会いしましょう!
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