行政書士が解説|全国で問題化する違法白トラの注意点

白トラ営業がもたらす危機、今すぐ対策すべき理由


みなさん、こんにちは!
運送業専門行政書士の齋藤です。

2025年現在、「白トラ」と呼ばれる違法な運送事業者が
全国で深刻な問題となっています。

ここでわざわざ説明するまでもありませんが、
白ナンバー(自家用ナンバー)のトラックを使って
許可を得ずに貨物を有償で運ぶ行為は、
法律で明確に禁じられています。

白トラは、以前から問題視されていたのですが、
なかなか摘発が進まず野放し状態でした。

「知人から頼まれた」
「うちは小さい会社だから」
などの理由で白トラ営業をしている事業者が今でも後を絶ちません。

このページでは、運送業専門の行政書士の視点から、
最新の摘発事例、罰則、背景、合法的な運送業との違い、
許可取得の流れまで、今、必要な情報を徹底解説します。

最新摘発事例から見る「白トラ」の現実

白トラ営業が問題化してきた背景には、
色々な事情があると思います。

でも、最近では明確な違法行為が摘発され、
やっと警察や運輸局も動き出したかといった状況です。

ここでは直近の代表的な摘発事例やトピックを紹介します。

  • 【兵庫】2025年8月
    無許可で日用品を運送していた男性を逮捕。「燃料代を浮かせるために…」と供述(神戸新聞)
  • 【東京】2025年3月
    鋼材を無許可で運んだ業者に加え、依頼主である建設会社の社長も共犯で摘発。荷主側初の逮捕事例として話題に。
  • 【大阪】2025年3月
    大阪万博関連の工事資材を白ナンバーで運んでいた13人が一斉摘発。売上は5億円を超えるとされ、業界に激震。
  • 【愛媛】2025年7月
    9都県にまたがる組織的な白トラ営業グループが摘発され、ドライバーと幹部計5名が逮捕。
  • 【東京】2025年4月
    運送会社「金井興業」が白トラ営業で摘発。常習性が高く、過去にも行政指導を受けていた。
  • 【全国】2025年6月
    いわゆる「トラック新法」が参議院で可決。白トラ撲滅のため、荷主に対する通報義務や社名公表制度が法制化予定。

白トラ営業が発生する背景と荷主の責任

それでは、なぜ白トラがいつまで経っても
無くならないかを考えてみたいと思います。

白トラ営業が生まれる背景には、
以下のような原因や社会情勢が存在すると思います。

  • 燃料費や人件費の高騰によるコスト圧縮
  • 許可取得の煩雑さに対する敬遠
  • 「ちょっとくらいなら大丈夫」という安易な認識
  • 荷主側の価格交渉圧力や法的理解の不足

特に注目すべきは、荷主側の責任です。
最近の摘発では、荷主も共犯として逮捕される例が出ており、
荷主側も「知らなかった」では済まされない時代に突入しています。

 

違法白トラに対する法律と罰則

貨物自動車運送事業法

【違反内容】許可なく有償で貨物を運ぶ営業行為
【罰則】3年以下の懲役または300万円以下の罰金(第70条等)
【対象者】本人(会社の場合は法人も)
【欠格要件】1年以上の懲役を受けると、5年間新規許可取得が不可(第5条)

 

道路運送法・道路運送車両法

【違反内容】自家用車(白ナンバー)の使用目的違反
【罰則】6月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路運送車両法第108条)
【行政処分】国土交通大臣による最大6ヶ月の使用制限・禁止命令(道路運送法第81条)

どうでしょう?
これらの罰則は非常に重く、
事業の停止や再起不能にもつながりかねません。

 

白トラ営業に該当する具体例

「うちは大丈夫」と思っている事業者でも、
実はすでに違法状態にある可能性があります。

● Q.「月に1~2回だけ運送してるけど、料金は燃料代だけです」
→ 有償性があれば、頻度に関係なく違法です。

● Q1.「お得意先に頼まれて、毎週1回だけ運んでいる」
→ 継続性があれば営業と見なされ、無許可営業に該当します。

● Q2.「報酬はないが、取引先から感謝の品をもらっている」
→ 経済的対価と判断されれば、違法営業と判断されることも。

● Q3.「運ぶのは農家仲間の野菜だけ。商売ではない」
→ JA等でも過去に白トラ問題が発覚しており、
謝罪・返金・処分に至っています。

●Q4.「買い取った野菜を運んだだけ」
→過去に処分された例があります。

参考

なんとか許可の取得を逃れて白トラを続けたい!!
という安直な考えをする人が思い浮かぶ典型的な行為が
上記Q4 の「買い取った野菜を運ぶ」という手口です。

まぁ、本当によくある発想ですね。
こういう場合なら違法じゃないですよね?
という程度の低い相談をよく受けます。

結論、違法です。

もちろん、全部が全部違法とは言いませんが、
大体、こういう発想の人が思い浮かぶ状態は
違法である場合はほとんどです。

 

実際の摘発例:青果を買い取って運送したケース

青森県では、個人事業主が、農家からリンゴを買い取る形で
自家用トラック(白ナンバー)に積み込み、
青果卸売会社へ運んだ事例で逮捕されています。

この事例のポイント
  • 運送の名目上は「リンゴを買い取った」形式を取っていた。

  • しかし、それは単なる形式であり、実質的に「他者の荷物を有償で運んだ」と判断され、
    貨物自動車運送事業法違反となった。

  • 運賃回避のために買い取りという手口を使っても、違法であるとの厳しい判断が下された。

少しだけ専門的に解説します。
事情 法的位置づけ
他社の荷物を買い取り「自社の荷物」として運ぶ 実態が「有償運送」であれば違法と判断される可能性が高い
世間的に“営業色”が強い運送である場合 「運賃を得て貨物を運んだ」として許可違反とみなされる
たとえ実質的な報酬が包装代・ガソリン代など名目だったとしても 法的には「有償運送」として立証されやすく、違法と判断されるケースが多い

 

余談ですが、この青森県の事例、個人事業主だったようですが、
略式起訴され、簡裁で罰金50万円の略式命令が出されたそうです。

ダンプや産業廃棄物収集運搬業についても、今後、どんどんメスを
入れてほしいですね。

私の偏見かも知れませんが、ダンプなんてどう考えても違法な場合がほとんどだと思います。
まじめに普通にやっている運送事業者がバカを見ないようになってもらいたいですね。

 

白トラ営業の現場で実際に起きた事故と損害例

続いて、過去に報道された実際の白トラの事故事例を
ご紹介したいと思います。

  • 白トラ業者が配送中に信号無視で追突 → 被害額約1,200万円、保険不適用で自己破産へ
  • 個人事業主が建材配送中に横転 → 荷主が損害賠償請求、取引打ち切りに
  • 許可のない業者が食品を運搬中、冷蔵装置トラブル → 食品全損、営業補償含めて800万円の損害に発展

きちんと許可を受けたまともな運送事業者であれば、
これらの事故は保険や制度で補償される可能性がありますが、
白トラ営業では全てが「自己責任」となります。

 

国・自治体の動き|「トラック新法」と今後の取り締まり強化

2025年6月に参議院で可決された「トラック新法」は、
白トラ営業撲滅のために以下のような制度改正を含んでいます。

  • 荷主に対して「白トラ利用を知ったら通報する義務」を課す
  • 白トラを利用した企業名を国交省が公表できる制度を導入
  • ドライバー本人だけでなく、雇用主や依頼主まで摘発対象に拡大
  • 運輸局の立入調査権限を拡大し、車両や業務書類の検査が強化される

こうした動きは、すでに
事実上の「白トラ一掃モード」が始まっていることを示しています。
今後、取り締まりが一気に強化されるのは確実です。
とてもいい傾向ですね。どんどん取り締まってもらいたいものです。

 

白トラを脱し、合法な運送業者として生き残るために

現時点で白トラ営業をしている事業者は、
「今は大丈夫」では済まされません。
遅かれ早かれ、監査・摘発・取引停止の波が押し寄せます。

特に、荷主側の法的責任が拡大している今、
「白トラを使っている会社とは契約しない」
という動きが強まっています。

逆に言えば、今このタイミングで合法化することが、差別化にもつながるのです。
許認可を取得し、保険や信頼のある事業体制を整えれば、
銀行・荷主・人材からの評価も変わります。

また、荷主側のみなさんも、万が一、白トラ事業者を
使っているのであれば、その責任は大きいと思って下さい。

そういう荷主がいるからいつまで経っても白トラが
減らない原因にもなっているという自覚をもって下さい。

 

最後に

「白トラをやめたい」
「今後はきちんと事業をしたい」
「でも何から始めればいいか分からない」

そんな方は、私にご相談ください。

それでは、今回はここまで。

最後までお読み下さいましてありがとうございます。

またお会いしましょう!

 

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