監査について
運送会社の方とお話をしていると
「今度、監査が入るんだよね~」
とか
「2年に1回の監査が近いんだよね~」
というセリフをよく耳にします。
ここで言葉の意味をおさらいしておきましょう。
普段、運送会社の皆さんが何気なく使っている
「監査」
という言葉ですが、これは「巡回指導」のことです。
ちなみに本当に監査だったらかなりヤバいです。
そんなのんびりしていられません。
監査とは
本当の意味での監査とは、
重大な違反等があった場合に、
運輸支局の監査担当の方々が行う制度のことです。
巡回指導とは
巡回指導とは、定期的にトラック協会の職員の方々が、
順番に運送会社に訪問し帳簿のチェックや指導を行う制度です。
トラック協会の職員とはいっても、
きちんと国道交通省のお墨付きなので舐めてかかってはいけません。
この制度は、平成2年12月からはじまった制度で、
地方貨物自動車運送適正化事業実施機関として指定された
トラック協会の適正化指導員が現場に来て指導を行う制度です。
巡回指導についてはコチラ
監査のきっかけ
法令違反もなく、きちんと運送業を適性に経営している運送会社に
突然監査が来ることはありません。
監査が来るときは必ず原因があります。
監査が入るキッカケのことを難しい言葉でいうと「端緒」といいます。
監査のきっかけは以下のとおりでかなり色々なパターンがあります。
- 適正化実施機関等からの情報により法令違反をしている疑いがあるとき
- 死亡事故を起こしたとき
- 酒酔い運転、酒気帯び運転、過労運転、薬物等使用運転、ひき逃げ等の悪質運転をした、又はその疑いがあるとき
- 行政処分を受けた際に改善の報告を命じられたのにそれに従わないとき
- 巡回指導を拒否したとき
- 警察や労働局、道路管理者などから法令違反を疑いがある旨の通知があったとき
- 労働局や年金機構などから労災、雇用保険、社会保険などに加入していない旨の通知があったとき
- 最低賃金法に違反している旨の通知があったとき
- 事故報告書の「事故の原因」「事故の種類の区別」が同じ事故を3年間に3回以上起こしたとき
- 事故報告書、事業報告書、事業実績報告書を所定の期限までに提出しない、虚偽の内容を記載した、記載内容に法令違反の疑いがあるとき
- トラックのタイヤの脱落事故を起こしたり、整備不良が原因で死傷事故を起こしたとき
- 長期間監査を実施していない場合
- 呼出指導になったにも関わらず正当な理由なく応じないとき
- 行政処分を受けた際に事業の改善状況の報告を命じられたとき
- その他、法令違反、事故。苦情等の状況に応じて監査の必要があると判断されたとき
このように監査のきっかけは思った以上にたくさんあります。
ちょっとした不注意が取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
特に監査のきっかけで一番最後の
「その他、法令違反、事故。苦情等の状況に応じて監査の必要があると判断されたとき」とある部分。
これは結局、お役所が監査が必要と思えば理由なんてどうにでもなるように思えます。
なので監査が必要と思われないように普段から法令をしっかり守り、適性に経営する必要があります。
監査の種類
監査には3つの種類があります。
特別監査
事故や違反行為が重大で、
厳しい対応が必要と判断される事業者に対して実施されます。
運行管理、労務管理、整備管理、安全教育など、
事業運営の全体を詳細にわたって確認されるため、
最も厳しい監査とされています。
悪質な違反が認められた場合は、
事業停止や許可取消といった重い行政処分が下されることが多いです。
一般監査
特別監査に該当しないが、法令違反の疑いがある場合に実施されます。
違反の端緒となった事案を中心に、
重点的に確認が行われるのが特徴です。
一般監査でも違反が見つかれば、
行政処分の対象になる可能性があります。
街頭監査
こちらは少し特殊なケースで、路上で実施される監査です。
ですが、バスが対象の制度なので詳細は説明しません。
行政処分の種類と内容
監査の結果、法令違反が確認された場合には、
「行政処分」が下されることがあります。
行政処分には段階があり、
その重さによって対応の内容や影響が異なります。
主な行政処分の種類
- 勧告:文書(勧告書)のみ
- 警告:文書(警告書)のみ
- 自動車その他の輸送施設の使用停止処分:車両のナンバーが取上げられ、稼働できなくなります
- 事業の全部又は一部の停止処分:営業停止
- 許可取消:最も重い処分で、運送事業ができなくなります
監査や処分を防ぐためにできること
監査は避けられないものであっても、
日常的な体制整備と記録の適正管理によって、
必要以上に恐れる必要はありません。
以下のような対策を講じることで、
万一の監査にも冷静に対応できる体制が築けます。
日頃から備えておきたいポイント
- 運行管理・点呼記録の徹底
- 運転者台帳の整備と定期更新
- 安全教育や研修の記録保存
- 整備記録、車検記録の確認と保管
- デジタコやドラレコのデータ活用
- 労働時間・休憩時間の適正管理
外部のサポートを活用するという選択
法令対応や監査対策は、会社内の担当者だけでは限界があります。
最新の法改正への対応や、記録書式の整備、安全管理体制の構築などについては、
専門家や外部の支援機関を活用するのも非常に有効です。
当社では、運送事業者様向けに以下のようなサポートをご提供しています:
- 巡回指導や監査対応の事前チェック
- 行政処分後の改善計画作成支援
- 帳票や記録の整備代行
- 安全管理体制の構築・見直し
- 顧問契約による継続的な支援
最後に
監査や行政処分は、事業運営に大きな影響を与える可能性があります。
しかし、「備え」があれば恐れる必要はありません。
日々の法令順守を意識し、「見られても問題ない会社づくり」を心がけることで、
万が一の際にも落ち着いて対応できます。
不安な点があれば、お気軽に専門家にご相談ください。
